少し前になりますが、基板を発注してみました。
とても簡単で驚きました。
ということで簡単なやり方を公開してみます。
今回はオープンソースのCADソフトである「KiCad」を使っています。
また発注はスイッチサイエンスPCBを利用してみました。
https://www.switch-science.com/pcborder/
(裏では結局FusionPCBに発注してるだけっぽいので、慣れたらいきなりFusionPCBでも良いかもですが、、 なんとなく日本人が間にいてくれると心強いかなと思って使ってみました。)
回路図の作成
まずは論理的な回路の配線を作ります。
部品の配置にはこだわらず、どことどこがつながるべきかを線でつないでいきます。
KiCadでは大抵の部品のプリセットがあるので、とても簡単に作ることが出来ます。
作成したらルールのチェックを実行します。
未結線の回路やVCCとGNDがショートしてたりしたら教えてくれます。親切!
(いくつかのルールがよくわからないので無視しました。勉強しなければ・・)
フットプリントの選択
フットプリントというのは、基板に部品を配置するときの「足の形」のことです。
要はその部品のためにどのように基板に穴を開けて、シルクに印刷をするのかをひとまとめにしたものです。
例えば抵抗であれば、四角い抵抗を示すシルクに加え、2つの穴を2.54*4mm間隔に配置する、などと行った感じです。
やることは回路の部品に対応するフットプリントを選択することです。
これもKiCadのプリセットがかなり使えます。
ただし、イアホンジャックのようなものはフットプリントが足りないことがあります。
そういう時はフットプリントエディタでオリジナルのフットプリントを作る必要があります。これは少し面倒だけど、寸法がわかってればそのとおりに穴を配置するだけです。
プリント基板の作成
いよいよ基板の作成です。
といっても、どの部品をつかって、どのように結線すべきかは回路図の作成、フットプリントの選択で作成したデータに含まれているので、やることは部品を基板のどこに配置するかを決めるだけです。
はじめにデザインルールを入力します。
これは穴の大きさなどの基本的なパラメータの初期値を入れるものです。
発注する業者によって最小の大きさなどがあるので、考慮しながら入力します。(僕はココで間違えてけっこうハマりました。)
次に外形線を引く必要があります。作りたい基板の大きさに合わせて外形線を引きます。丸みのある線も引くことが出来ますが、今回は長方形の基板にしたいだけなので単純に長方形の外形線を引きます。
基板の発注をするときには大きさで値段が決まるので、外形線を引くときは予算と相談する必要があります。 もちろん作りたい部品が全部乗る大きさにする必要があります。
そして、フットプリントをロードします。てきとーに散らばった状態からスタートするので、それらをいい感じに配置していきます。
その後配線を引きます。今回は表、裏の2面の基板を作成するので、どちらの面に線を引くのかに気をつけながら配線をします。
どこに配線すべきかは回路図のデータから明らかなのでKiCadが配線をガイドしてくれます。
(画像のナナメの黄色い線がそれです)
当然同じ面で配線が交差するとショートするので、うまい具合に立体交差させながら配線します。
大体出来たところでERCをかけます。
ERCを実行すると回路図とプリント基板の設計の矛盾を教えてくれます。回路図ではつながっているのにプリント基板上で繋がっていなかったりしたときに教えてくれます。
また配線同士が近すぎる場合なども警告してくれます。
エラーが出なくなるまで修正をすれば基板データの完成です。
発注
後はガーバーデータという形式にエクスポートすれば完成です。
業者が指定する方法に合わせてエクスポートします。
いくつかのファイルが出力されるので、ファイル名を業者の指定するものに変更して、業者の指定する方法でそれらを納品します。(スイッチサイエンスの場合はzipで固めてアップロードしました。)
あとはWebフォームで発注をするだけです。
お値段はスイッチサイエンスPCB( https://www.switch-science.com/pcborder/ )だと
- 5cm*5cmで10枚1389円+送料1080円
- 10cm*10cmで10枚3074円+送料1080円
とかそんな感じです。
上手く行けば大体2週間~3週間くらいで基板が届きます。
(中国の旧正月をまたぐと納期がすごく遅くなるので注意!)
上手く行かない時は1週間以内くらいにダメだった旨が連絡され、発注もキャンセルされます(クレカからは一度引き落とされた後にキャンセルがかかります)。穴の大きさが指定されたものより小さかったりすると基板を作る前にストップがかかることがあります。
基板自体に論理的な問題があるものはチェックされないので、注意が必要です。
組み立て
基板が届いたらそれを組み合わせて作品を完成させます。
僕は木材と組み合わせてRakuChordを作成しました。
アクリル板やレーザーカッターを使えばもっとかっこいいものが作れると思います。(ちょっと高いけど)
まとめ・基板を作る利点
ユニバーサル基板でやるよりも明らかに完成度の高いものが作れます。
基板はもうできているので作るのが簡単になります。 完成度が高くてしかも簡単!やらない手はありません。
同じものを大量に作るような場合にも有効です(僕の場合は1つ作りたいだけだったので10枚単位で発注すると基板を余らせてしまいましたが・・)
個人でもそこそこ簡単に作れるので、自分の作品を持っている人はぜひやってみてください。
また、基板を作る前段階として、ブレッドボードなどの試作の回路であっても、その論理回路図をKiCadで書いてみるのをおすすめします。
回路ってバージョン管理出来ないので、記録のためにもちゃんと回路図で書いておくと後が楽です。